新NISA、やってはいけない3つの使い方
― 知らないうちに“遠回り”していませんか? ―
「新NISAを始めました。これで将来は安心ですよね?」
最近、本当によく聞く言葉です。
新NISAは非課税で資産形成ができる、非常に優れた制度です。
しかし、制度が優れていることと、使い方が正しいことは別問題。
実際の相談現場では、
「頑張っているのに、むしろ遠回りしている」ケースも少なくありません。
今回は、子育て世代がやってしまいがちな“3つの失敗例”をお伝えします。
① 教育費をすべて新NISAで準備してしまう
40代前半、世帯年収950万円、子ども2人(小学生)の共働き世帯。
「教育費は新NISAで月6万円積み立てています」と自信を持って話されました。
18年間、年利5%で運用できれば約2,000万円前後になる可能性があります。
数字だけ見れば十分に見えます。
しかし問題は“タイミング”でした。
大学進学直前に相場が下落した場合
、評価額が1,600万円になっている可能性もあります。
2人分の大学費用が1,200〜1,500万円かかるとすると、余裕はほとんどありません。
教育費は「待てないお金」です。
新NISAは長期投資向きの制度。
期限付きの教育費をすべて投資任せにするのは、実はリスクが高い設計です。
② 夫婦で同じ投資を重複している
世帯年収880万円、30代後半の共働き夫婦。
夫も妻も新NISAを満額近く活用し、
毎月合計10万円を同じインデックスファンドに積立。
「分散できてますよね?」と聞かれました。
しかし中身はほぼ同じ商品。
さらにライフプランを作成すると、
・教育費ピーク時に300万円不足の可能性
・老後は逆に過剰資産の可能性
・保障が生活費に対して不足
という状況でした。
投資はしっかりやっている。
でも『目的別の設計』がない。
新NISAは非課税というメリットがありますが、
目的を分けずに使うと、単なる投資口座になってしまいます。
③ 生活防衛資金を残さず全力投資
これは本当に増えています。
「どうせ預金は増えないから、全部NISAに回しました。」
世帯年収820万円、住宅ローン返済中、子ども1人の家庭。
預金残高は50万円。
毎月8万円を新NISAへ。
一見、積極的で素晴らしい姿勢です。
しかし、もし収入が一時的に減ったらどうなるでしょうか。
生活費が月30万円なら、預金は2か月も持ちません。
その結果、相場が下がっているタイミングで投資を取り崩すことになります。
新NISAは長期で力を発揮する制度。
余裕資金で使う前提を崩すと、制度のメリットを活かせません。
失敗事例から見える共通点
3つの事例に共通しているのは、
✔ 制度は理解している
✔ 積立もしている
✔ でも設計が曖昧
という点です。
新NISAは“増やす道具”です。
しかし家計には、
・期限が決まっているお金(教育費)
・守らなければならないお金(生活費・保障)
・調整できるお金(老後資金)
という役割の違いがあります。
これを分けずに使うと、不安は消えません。
正しい順番は何か
子育て世代の場合、優先順位はこうなります。
① 教育費のピークと必要額を把握する
② 万一の保障と生活防衛資金を確保する
③ 余力で新NISAを最大限活用する
多くの家庭は③から始めてしまいます。
制度が話題になっている今だからこそ、冷静な設計が必要です。
まとめ:新NISAは万能ではない
新NISAは非常に優れた制度です。
しかし、
・教育費を全額任せる
・目的を分けずに使う
・生活防衛資金を持たずに全力投資する
この3つは、将来の不安を大きくする使い方です。
問題は制度ではなく、使い方。
もし今、
「ちゃんとやっているはずなのに不安がある」
そう感じているなら、それは積立不足ではなく、
使い方が間違ってしまっているサインかもしれません。
ハッピーライフコンサルティングでは、
ご家庭ごとの状況に合わせて、資産運用の役割を整理しています。
増やす前に、まず整える。
その一歩が、将来の安心を大きく変えていきます。
熱田裕保(あつたひろやす)